老後のキャッシュフローは「平均」で考えてはいけない
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- 5月27日
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辻・本郷税理士法人のお客さま向けブログを配信しました。
老後を「考え直す」ための24の視点(第5回)
老後のキャッシュフローは「平均」で考えてはいけない
前回は、「老後に向いている資産と、向いていない資産がある」というお話をしました。その中で重要だったのは、
・必要なときに使えるか
・少しずつ取り崩せるか
・状況に応じて調整できるか
という視点です。では、なぜ老後では「調整できること」がそれほど重要なのでしょうか。その理由は、老後のお金の使われ方は、毎月均等ではないからです。
1.老後のお金は「平均通り」に減らない
老後資金の話では、よく
「毎月の生活費はいくらか」
「年金との差額はいくらか」
という形で説明されます。しかし実際の老後は、毎月同じようにお金が減っていくわけではありません。
むしろ、
・普段はそれほど使わない時期
・ある年に急に大きな支出が発生する時期
が混ざりながら進んでいきます。つまり老後のお金は、「平均」ではなく「波」で考える必要があるのです。
2.老後支出は「一部の出来事」で大きく変わる
老後のお金を大きく動かすのは、日々の生活費だけではありません。
たとえば、
・自宅の修繕
・車の買い替え
・医療費の増加
・介護サービスの利用
・住み替えや施設入居
・配偶者の死亡
こうした出来事は、毎月少しずつ起きるのではなく、あるタイミングでまとまって発生します。
しかも重要なのは、支出そのものより、「いつ起きるか」が読みにくいという点です。
老後不安の多くは、「いくら必要か」よりも、「いつ、どれだけ必要になるか分からない」ところから生まれます。
3.「平均額」で安心しようとすると、かえって苦しくなる
ここで、多くの人が陥りやすい考え方があります。それは、「毎月○万円なら30年もつ」という発想です。もちろん、長期的な試算は大切です。
しかし実際には、
・支出は均一ではない
・人生も予定通りには進まない
ため、平均値だけで老後を設計すると、途中で大きなズレが生まれます。
たとえば、平均では問題がなくても、ある年にまとまった支出が重なると、
・資産を急いで売る
・不利なタイミングで取り崩す
・生活の選択肢を狭める
といったことが起こります。
老後で本当に重要なのは、「平均で足りるか」ではなく、「大きな波に耐えられるか」なのです。
4.老後では「余白」が資産になる
現役時代は、
・効率よく増やす
・無駄を減らす
・資金を最大活用する
ことが合理的でした。しかし老後では、すぐには使わないお金にも重要な役割があります。たとえば、
・急な医療費
・住み替え
・家族支援
・介護への備え
こうした出来事に対応するには、すぐ動かせる余力=「余白」が必要になります。老後において余白とは、単なる“遊んでいるお金”ではありません。判断を急がなくて済むためのお金でもあるのです。
5.老後の不安は「想定外」が原因ではない
老後不安というと、「想定外のことが起きるから怖い」と思われがちです。
しかし実際には、
・病気になる
・体力が落ちる
・住まいを考え直す
・家族構成が変わる
こうしたこと自体は、ある意味では自然な変化です。
問題は、変化そのものではなく、変化を前提に準備できていないことにあります。
老後では、「何も起きない前提」で考えるより、何かは起きる前提で、調整できる形にしておくことの方が重要になります。
第5回の結論
老後のキャッシュフローは、毎月均等に流れていくものではありません。一部の年、一部の出来事で、大きく変化します。
だからこそ老後では、・平均額・利回り・想定シナリオだけではなく、「変化に耐えられる余白があるか」が重要になります。
老後の安心とは、完璧に予測できることではなく、変化が起きても、慌てず調整できることなのかもしれません。
余白に必要な金額は、人によって異なります。しかし共通しているのは、「何かが起きても、すぐに追い込まれない状態」を作っておくことです。
次回予告
次回は、老後のバランスシートが崩れる「3つの瞬間」を取り上げます。老後のリスクは、少しずつ均等に訪れるわけではありません。
ある瞬間を境に、お金よりも「判断」と「段取り」が重要になる場面があります。

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