老後のバランスシートが崩れる3つの瞬間 2026/6/26
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- 6月29日
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2026年6月26日、辻・本郷税理士法人のお客さま向けにメルマガ「ファミリーオフィス未来通信」を発信しました。
老後を「考え直す」ための24の視点(第6回)
老後のバランスシートが崩れる3つの瞬間
これまでの5回で、・老後不安はお金の不足だけではないこと ・老後は収支ではなくバランスシートで考えること ・見えない資産と負債があること ・資産には向き不向きがあること ・支出は平均通りに発生しないこと を見てきました。では実際に、老後のバランスシートはどのようなときに崩れるのでしょうか。興味深いことに、老後のバランスシートは毎年少しずつ崩れるわけではありません。むしろ、ある出来事を境に、急に姿を変えることがあります。
1.配偶者を失ったとき
老後の生活は、多くの場合、夫婦という単位で設計されています。ところが、どちらかが先に亡くなると、・年金が変わる ・生活費の構造が変わる ・家事の負担が変わる ・人間関係が変わる といった変化が一気に起こります。ここで問題になるのは、資産が減ることだけではありません。それまで二人で担っていた・判断 ・手続き ・日常生活 を一人で引き受ける必要が生じます。つまり、金融資産は変わらなくても、見えない資産が大きく減ることがあるのです。
2.判断力が落ちたとき
老後のリスクというと、病気や介護を思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし実際には、その一歩手前で起きる変化があります。それが、判断することが少しずつ重くなるということです。たとえば、・契約書を読むのが面倒になる・資産管理を後回しにする・新しい制度を理解する気力がなくなるこうした変化は、誰にでも起こり得ます。問題は、資産があるかどうかではなく、資産を管理し、使い、守る力が少しずつ低下することです。第3回で見た「見えない資産」である判断力は、年齢とともに減少する可能性があります。そして、判断力が低下すると、見えない負債である・先送り・管理の複雑さが一気に重くなります。
3.住まいを変える必要が生じたとき
多くの人は、今住んでいる家に住み続ける前提で老後を考えます。しかし現実には、・階段がつらくなる・車が運転できなくなる・医療機関の近くに移りたくなる・介護サービスを利用しやすい場所が必要になるなど、住環境を見直す場面が訪れることがあります。ここで初めて、不動産という資産の性質が表面化します。・売るのか・貸すのか・子どもに残すのか簡単には答えが出ません。しかも、住まいの問題はお金だけではなく、感情とも結びついています。だからこそ、判断が難しくなるのです。
3つの瞬間に共通するもの
ここまで見てきた3つの出来事には、共通点があります。それは、お金だけでは解決できないということです。配偶者を失うことも、判断力が落ちることも、住まいを変えることも、必要になるのは、資金より先に、判断と段取りです。どの資産を使うのか。誰に相談するのか。何を優先するのか。その整理ができているかどうかで、老後の安心感は大きく変わります。
第6回の結論
老後のバランスシートを崩すのは、必ずしも市場の暴落ではありません。むしろ、・配偶者を失ったとき・判断力が落ちたとき・住まいを変える必要が生じたときといった人生の転機です。そして、そのとき本当に問われるのは、いくら持っているかではなく、誰が考えるのか誰が決めるのかどう進めるのかです。老後の準備とは、お金を増やすことだけではありません。変化が起きたときに、判断と行動が止まらない状態を作ることなのかもしれません。
次回予告
次回からは第2部に入ります。テーマは、「相続対策=相続税対策、という誤解」です。相続というと、多くの人は税金を思い浮かべます。しかし本当に考えるべきなのは、「いくら税金を減らすか」ではなく、「受け取る人にとって、どんな相続がよい相続なのか」という問いなのです。
【執筆者紹介】代田 秀雄(しろた ひでお)辻・本郷 ファミリーオフィス株式会社 特別顧問シロタ・ウェルス・アンド・ウェルビーイング・アドバイザーズ代表中央大学法学部兼任講師(国際金融論)国際公認投資アナリスト三菱UFJ信託銀行、三菱UFJアセットマネジメントで資産運用に長年従事。 「オルカン(eMAXIS Slim 全世界株式)」はじめとするインデックス・ファンドの開発を通じ、個人の長期的な資産形成を支援した。
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